匣見

顔面荒野

日記:クソデカ主語

 ‪巨大な主語に対抗するべく、『機関』は巨大な述語を開発した。『する』である。
 単純なその動詞『する』は、ひとことであまりに多くの要素を内包するため一切の具体化を拒む性質に目を付けたのだ。初めて実用化に至ったのは『する式述語弾頭』と呼称され、これを巨大な主語にぶつけることで作者のきもちを霧散させ、伝達を妨げ、文意を希釈し消失させる。文章構造を破壊するのだ。以後の軍拡競争の口火を華々しく切った最初の文法兵器である。

 巨大主語の側もただ砲撃されるばかりではない。

 文意消失に耐えるには文章を複雑化し、簡単には希釈されない程度の強度が必要であると判断したのは当然といえる。すなわち、巨大修飾語で文章を要塞化したのだ。これの対抗策は……と話は続いてゆく。
 そうした巨大主語を天守閣に据えた巨大構造物の建て増し合戦はカンブリア紀と呼ばれ、こんにちの多様な言語構造の礎になったことは言うまでもない。

 そう解説するのは組織の概念を束ねた巨大主語の『機関』である。‬








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